凪良ゆう『星を編む』感想

『流浪の月』しかり『汝、星のごとく』しかり、一般的に「正しいとされてること」がいかに陳腐なものかを考えさせられる。自分にはその正しさからはみ出る勇気はまだないけど、自分の正しさを無防備に人に押し付けるような人にはなりたくない。

 

北原先生や植木さん、どこか浮世離れしていて完璧に見える人たちも、実は問題を抱えている。完璧なんて存在しない、そんな当たり前のことに気づかされた。

特に植木さんの家庭での会話は、凪良さんの小説でここまで日常にこびりついたものが出てくるのかと驚いた。

 

ワークライフバランスなんて言葉が言われて久しいが、本気で何かを成し遂げようとするときにはどちらかを犠牲にしなきゃいけない。何かを犠牲にしてくれている人たちのおかげで、この世界は成り立っている。バランス取るなんてそんな簡単にできることではない。そのことをどう捉えたら良いのだろうか。